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2018.08.02 (Thu)

第203回 8月のBPラジオ余話

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▲主催「朝日新聞社」も、増刊号で「甲子園第100回」を盛り上げる。


◆甲子園第100回
 今年の甲子園、西東京代表は、おなじみ日大三高となった。以下の話は、数年前に書いたことなのだが、ちょうどいいタイミングなので、あらためて綴る。
 ご存知の方も多いだろうが、「甲子園の応援演奏で、初めて女性指揮者が振った」吹奏楽部が、日大三高である。
 1952(昭和27)年の甲子園、東京代表は日大三高だった。
 この「昭和27年」とは、日本が主権を回復した年である。前年にサンフランシスコ講和条約が締結され、昭和27年4月に発効した。これによってアメリカによる占領は終わり、ようやく日本は自立し始めた、そんな年であった。

 日大三高は、戦前に2回、夏の甲子園に出場していたが、戦後は、この年が初出場だった。しかも主権回復の直後とあって、おそらく、たいへんな盛り上がりだったろう。
 そんな年の夏を、さらに盛り上げたのが、このとき、吹奏楽部を率いていた女性顧問の若林文先生だった。
 後年の若林先生の回想によれば、
「周囲がガヤガヤしてきましてね。なんだと思ったら、先生、新聞記者が来てるっていうんですよ」
 女性が甲子園の応援スタンドで指揮している姿は、実に珍しかったらしい。
「名前を聞かれたり、どうして来たんだとか、いろいろ聞かれました。その上、梅田の阪神かなにかの大きなデパートに等身大の写真が出たらしいんです。(甲子園での女性指揮者は)わたしがはじめてといわれてます」
 とのことだった(全日本吹奏楽連盟会報「すいそうがく」第27号=1988年11月発行、「てい談 復興! そして発展へ」より)

 今年は、夏の高校野球が第100回だそうである。殺人的酷暑の下、まったくご苦労様としかいいようがない。ふだん、熱中症への注意を喚起する一方、この炎天下で未成年に野球をやらせる主催者の気もしれないが、暑いからとやめるわけにもいかないだろう。選手はもちろん、応援席の吹奏楽部員の生命の安全を願ってやまない。

 BPラジオでは、いくつか、高校野球を中心に、野球ゆかりの曲を流すが、ぜひお聴きいただきたいのが、《全国中等学校優勝野球大会行進歌》、通称「大会行進曲」である(富田砕花作詞、山田耕筰作曲編曲/内木実、コロムビア合唱団、コロムビア交響楽団、山田耕筰指揮)。これは、むかしの大会歌で、現在の《栄冠は君に輝く》が制定されてからは、入場行進曲となって現在でも演奏されている。本来、どんな曲だったのか、お聴きいただきたい(流行歌が演奏されるのは、春の甲子園)。
 作曲した山田耕筰についてはいうまでもないだろう。作詞の富田砕花(1890~1984)は詩人・歌人で、ホイットマン『草の花』を、かなりはやい時期に(日本で最初?)翻訳したひとである(『草の花』邦訳は数種類あるが、わたしは、この富田訳がいちばん好きだ)。

 昭和27年に若林先生が指揮したころは、すでに《栄冠は君に輝く》の時代になっていたが、まだ制定されて数年だった(昭和23年制定)。もしかしたら、若林先生たちにとっては、まだ、以前の「大会行進曲」のほうがなじみがあったかもしれない。
 そんなことに思いを馳せながら、むかしの響きをお聴きいただきたい。

◆祝第100回! 吹奏楽で聴く夏の高校野球
<FMカオン>8/4(土)23時、8/18(土)23時
<調布FM>8/5(日)正午、8/19(日)正午


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▲東海林修さん全曲アレンジのアルバム『JULIEⅡ』(わざと薄ぼんやりしたデザインになっていた)。

◆東海林修のブラス・アレンジ
 毎年8月は、管打楽器が活躍するむかしのヒット曲、通称「昭和ブラス歌謡」(わたしが勝手にそう呼んでいるだけだが)を特集している。
 毎年変り映えのない選曲なのだが、今回、沢田研二の《許されない愛》をかけたときは、少々、感慨深いものがあった。
 これは、1972年3月に発売された、ジュリーのソロ・デビュー2枚目のシングル曲だが(山上路夫作詞、加瀬邦彦作曲)、編曲が、この4月に亡くなった、《ディスコ・キッド》の東海林修さんなのである。

 この時期、東海林さんとジュリーは、すばらしい仕事を次々と生み出している。
 ジュリーのソロ・デビューは、1971年11月の《君をのせて》だった(岩谷時子作詞、宮川泰作曲、青木望編曲)。さすがは宮川泰、美しいバラード風の曲調で「君をのせて夜の海を渡る舟になろう」とうたう。実際、天知真理主演の映画『虹をわたって』(1972年、前田陽一監督)の中で、ジュリーがヨットで放浪する青年役で登場し、この曲をうたう場面があった。
 
 ところが、これが中ヒット(オリコン23位)で終わってしまった。そこで2曲目から方向転換し、もっとド派手な曲で行くことになった。それを具現化させたのが、東海林修さんだった。《許されない愛》を含むセカンド・アルバム『JULIE II』は、ロンドンでレコーディングされたが、全曲、編曲は東海林さんが担当した(ファースト・アルバム『JULIE』も、全曲、東海林編曲だがこれはザ・タイガース在籍中に発売されたもの。よって、『JULIEⅡ』が事実上のソロ・デビュー後の初アルバムである)。
 これは驚くべき内容で、全体を通して「港」をコンセプトとした、まるで叙事詩《オデュッセイア》のような構成になっているのである。全曲、山上路夫が作詞し、編曲を東海林さんが担当した。
 以下、曲名と作曲者を見るだけでも、目がくらむようなアルバムであることが予想できよう。

1:霧笛(山上路夫作詞、東海林修作編曲)
2:港の日々(山上路夫作詞、:かまやつひろし作曲、東海林修編曲)
3:おれたちは船乗りだ(山上路夫作詞、:クニ河内作曲、東海林修編曲)
4:男の友情(山上路夫作詞、クニ河内作曲、東海林修編曲)
5:美しい予感(山上路夫作詞、井上堯之作曲、東海林修編曲)
6:揺れるこころ(山上路夫作詞、大野克夫作曲、東海林修編曲)
7:純白の夜明け(山上路夫作詞、加瀬邦彦作曲、東海林修編曲)
8:二人の生活(山上路夫作詞、筒美京平作曲、東海林修編曲)
9:愛に死す(山上路夫作詞、東海林修作編曲)
10:許されない愛(山上路夫作詞、加瀬邦彦作曲、東海林修編曲)
11:嘆きの人生(山上路夫作詞、すぎやまこういち作曲、東海林修編曲)
12:船出の朝(山上路夫作詞、大野克夫作曲、東海林修編曲)

 BPラジオの中では、ブラス全開バリバリの《許されない愛》しか放送できなかったが、できれば、全曲を通して、天才的な東海林プロデュース色を味わっていただきたい。

 《許されない愛》は、オリコン4位の大ヒットとなり、紅白歌合戦にも初出場。曲の後半、まるでブラス群とジュリーが掛け合いを演じるような、見事なアレンジが展開する。
 この曲をきっかけに、ジュリーは、日本ポップス史に燦然と輝く存在となるのである。その陰には、東海林修さんの見事なプロデュース、アレンジがあったのだ。

◆暑苦しいけど元気が出る! 昭和ブラス歌謡大行進!
<FMカオン>8/11(土祝)23時、8/25(土)23時
<調布FM>8/12日)正午、8/26(日)正午

<一部敬称略>

◆「富樫鉄火のグル新」は、吹奏楽ウェブマガジン「BandPower」生まれです。第132回以前のバックナンバーは、こちら。

◆毎週(土)23時・FMカオン、毎週(日)正午・調布FMにて、「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティをやってます。
 パソコンやスマホで聴けます。 内容の詳細や聴き方は、上記「BandPower」で。

◆ミステリを中心とする面白本書評なら、西野智紀さんのブログを。 
 最近、書評サイト「HONZ」でもデビューしています。
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