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2018.09.04 (Tue)

第206回 『2001年宇宙の旅』70㎜上映

2001年チラシ
国立映画アーカイブにて、10月に12回のみ上映される。

 公開50年を記念して、映画『2001年宇宙の旅』(スタンリー・キューブリック監督/1968年、アメリカ)の、70㎜ニュープリントが作成され、世界巡回上映がはじまった。10月には、東京・京橋の国立映画アーカイブ(旧フィルムセンター)で上映される。
 宣伝文句によれば、「公開時の映像と音の再現を追求して、オリジナル・カメラネガからデジタル処理を介さずにフォトケミカル工程だけで作成」され、「公開当時と同じ6チャンネルで、上映前の前奏曲、休憩時の音楽、終映時の音楽まで再現されている」とのことだ(ちなみに、序曲・休憩音楽はリゲティ《アトモスフェール》、エンドタイトルと退場音楽はヨハン・シュトラウスⅡ《美しく青きドナウ》である)。

 かつて、超大作映画といえば『ベン・ハー』『アラビアのロレンス』など、多くが横長スクリーンの「70㎜」だった。近年、『ヘイトフル・エイト』や『ダンケルク』のように70㎜フィルム作品が復権しつつあるが、日本には、もう上映できる劇場がない(『2001年』は全10巻、おそらく200㎏近いのではないか)。
 ところが昨年10月、ユネスコ「世界視聴覚遺産の日」イベントとして、フィルムセンター(当時)で『デルス・ウザーラ』(黒澤明監督/1975年、日ソ合作)が上映された。同館は映写機材などを再整備し、オリジナルの70㎜フィルムで上映した(素晴らしかった!)。これが成功し、同館は「日本で唯一、70㎜フィルムを上映できる劇場」として注目を浴びた。そこで今年の同イベントは、話題の『2001年』上映になったようだ。

 わたしは学生時代に、いまはなきテアトル東京で、70㎜フィルムで観たのが最初だった。その後、「2001年」に、同館の後身・ルテアトル銀座で、やはり70㎜フィルムで観たが(これが日本における同作の最後の70㎜上映だったのでは)、あとはすべて35㎜かデジタルでしか観ていない。よって17年ぶりの70㎜鑑賞となる(35㎜やデジタルと、70㎜では、味わいがちがうどころか、別作品だといっても過言ではない)。

 2015年に、渋谷のオーチャードホールで、最近流行のシネマ・コンサート形式で上映された。音楽トラックをカットしたデジタル上映にあわせて、日本フィルハーモニー交響楽団と東京混声合唱団が、ナマ演奏した。さぞやスゴイだろうと期待して行ってみたが、あまりのショボさに、休憩で退出してしまった。いくらオケや合唱がナマ演奏しても、映画館で地響きを立てて流れる音楽には、とてもかなわない。PAを入れて、少しくらいスピーカーで流してほしかった。デジタル変換された映像も薄っぺらだった。やはり映画音楽は、フィルムのサウンドトラックから、スピーカーを通じて派手に増幅された音で流してくれないとダメなのだ。

 『2001年』でわたしが好きなシーンは、モノリス出現でもスターゲイト通過でもなく、月面ロケットバスの中で、フロイド博士たちが、サンドウィッチのような宇宙食を食べるところである。「腹減ってるやつ、いるか?」「チキンあるかな」「ハムは?」。すると、乗組員が容器のなかを「ハム、ハム、ハム……」と言いながら探す。あのシーンを観るたびに、腹が鳴る。宇宙へ行くと、やはり食べ物が楽しみなのだな、見かけはともかく、きっと味だけは素晴らしいのだろうな……などと思わされる場面だ。
 ここで流れる音楽は、リゲティの《ルクス・エテルナ》(アカペラ混声16部合唱)である。今度こそ、スピーカーで増幅されたリゲティを聴きながら、「ハム、ハム、ハム……」を70㎜フィルムで観られると思うと、いまから腹が鳴るぞ。
<この項、つづく>

【注】『2001年宇宙の旅』70㎜上映(国立フィルムアーカイブ)の前売券は、12回すべて完売しています(当日券は出るようです)。


◆9月の「BPラジオ」で、この映画の音楽を特集しています。
【第106回】70mm上映決定! 『2001年宇宙の旅』音楽の秘密
<FMカオン>9/8(土)23時、9/22(土)23時
<調布FM>9/9(日)正午、9/23(日祝)正午
※パソコンやスマホで聴けます。聴き方は、こちら


◆「富樫鉄火のグル新」は、吹奏楽ウェブマガジン「BandPower」生まれです。第132回以前のバックナンバーは、こちら。

◆毎週(土)23時・FMカオン、毎週(日)正午・調布FMにて、「BPラジオ/吹奏楽の世界へようこそ」パーソナリティをやってます。
 パソコンやスマホで聴けます。 内容の詳細や聴き方は、上記「BandPower」で。

◆ミステリを中心とする面白本書評なら、西野智紀さんのブログを。 
 最近、書評サイト「HONZ」でもデビューしています。
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