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2018.11.27 (Tue)

第215回 御恩屋

ゴーン
▲実は、前から警鐘は鳴っていた。


 いまさらこんなことを書くと「後出しジャンケン」だといわれそうだが、1999年にカルロス・ゴーンが日産に入社したとき、近来稀に見る悪人ヅラだと思って、びっくりした記憶がある。よく、こんな顔をした人間を日産のような大企業が迎えたものだと、逆に感心した。
 当時、知人と呑み屋で、「あの顔のまま、時代劇の扮装をしたら、悪徳商人役ができそうだな」と話したのを覚えている。賄賂をおくった大名から「御恩屋、おぬしもワルよのう」とからかわれると「なんの、50億円くらい、いくらでもひねりだせますゆえ。フッフッフッ」とでも言いそうな顔だ。
 しかし、大幅な人員削減や工場閉鎖、「Keiretsu」(系列会社)破壊はあったが、日産が抱えていた2兆円の有利子負債は、とにかく数年で消えた(もっとも辛口評論家にいわせると、こういうコストカットは、1990年代初頭からどこの自動車メーカーも取り組んでいたのに、日産は遅すぎたのだという)。
 ではその後、御恩屋の顔が善人ヅラになったかというと、それほど変わらなかったような気がする。

 むかしから、人間を外見で判断してはいけないと言われてきた。だが、『人は見た目が9割』がベストセラーになったことからも察せられるように、やはり、顔には、内面が出るものだと思う。眉間にシワを寄せた顔といえば、芥川龍之介や、ベートーヴェン、シベリウスの肖像が有名だが、彼らと御恩屋とは、なにかが決定的にちがう。
 入社直後、都市対抗野球を見学に行ったら「これこそが日本の企業文化の象徴だ」と大感動し、廃止が囁かれていた野球部の存続を表明した……にもかかわらず、その後、赤字になりかけるとすぐに(ほかの運動部ともども)廃止させた、あの変わり身の素早さというか、言行不一致は、あのツラがまえだからこそ、できたように思う。

 それにしても、よくまあ、日産ほどの大企業を、あそこまで食い物にしてきたものだと驚く。結局、いまでも日本は「連合軍」に占領されつづけているのではないか。
 日本は、1945(昭和20)年の敗戦後、連合軍(実態はアメリカ)に占領された。東京裁判では不当に重い判決が頻発し、『私は貝になりたい』が生まれた。日米安保条約には、米軍基地だらけになる仕組み(事実上の占領延長)が紛れ込んでいた。
 やがて、アメリカ大衆文化の親玉「ディズニーランド」がやってきて、日本人を骨抜きにしはじめた。いい歳をして虚妄のぬいぐるみに抱きついて喜ぶ日本人を大量発生させた(1983年の開園時、幼稚園児だった世代は、すでに40歳代)。さらにディズニーは、ジブリ作品の海外配給権を入手した(よってアメリカ人にとって、ジブリ作品=ディズニー・アニメ)。さらに「スター・ウォーズ」「マーベル」まで買収し、日本でも大安売りをはじめた。

 そして今度は、フランスの自動車屋に、いいように弄ばれ、しゃぶりつくされた。明治時代の遊郭を舞台にした映画『骨までしゃぶる』(1966年、東映、加藤泰監督)を思い出す。
 結局、連合軍にとって、日本は、いまでもメシのタネであり、だましやすいガキの国なのだ。占領軍、ディズニー、そしてルノー=御恩屋……「第三の占領」といいたくなる。
<敬称略>

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